ロマンスの途中(Juice=Juice)

名曲だと思う。
面白くて、可愛くて、カッコよくて、クール、そして何よりも楽しい。

特に気に入っているのは、生音っぽい音作りで、しかもブラスが強烈に効いていること。最近のハロプロ各グループとは一線を引く曲作りになっているのが大変興味深い。

歌詞も凝っていて、「『愛してるわ』と言え!」と「I still love you! yeah」で語呂を合わせていたり、「ジェラシー / のない /恋つまんない」の歌割の妙とか、「掴もうぜ ロマンスよ永遠」がドラゴンボールっぽいのは、わかっていてわざとやってるだろうとか、MVも含めて楽しませるためのフックが多い。

ただ、歌に関しては、ちょっと微妙かなと思うところがある。曲に声が負けているというか、まだ歌いこなせてないところがあるというか。顕著なのは、リズムが細かくて早口で歌わなければならないところで、「所有欲も愛のひとつ」とか「笑いくらいあるんでしょうね」といった箇所では、いまいち舌が回っていない感がある。特に、後者は本作で一番しゃれている言い回しなので、もうちょっと頑張ってほしかった*1

ただ、この曲はメジャーデビュー第一作目ということで、長いスパンで歌われていくことになるだろう。それこそ、5周年・10周年といった折々の場で披露されることになるはずだ。そんな都度都度で、彼女らは必ずや、今よりずっと洗練した歌いっぷりを魅せてくれるはずだ。今のJuice=Juice魅力というよりも、これからの成長振りを可視化できる曲として、本作は作られたのではないだろうか。


ただ、ぱっと見た感じだと、Juice=Juice自体、既にそれなりの完成度があるように見えて(特にビジュアル)、中・長期的に伸びていくという感じがあんまりしない。これから順調に売れていくと、2年後にはそれなりの高位置にいるような気がするんだけど、そこから先はどうなるんだろうか。

*1:字幕込みのMVだとあまり目立たないのだが、CDで聴いていると滑舌が気になってくる

田村ゆかり LOVE ♡ LIVE 2013 *Cute'n ♡ Cute'n Heart*

二日目最初のMCで、田村ゆかりは、観客にこんなことを言っていた。
「みんな予習してきたと思うんだけど、新鮮な気持ちで臨んで欲しい」

だが、この発言は今から思うと、完全なブラフだった。なぜなら、そもそも初日と二日目でセットリストの変更点がかなり多く、予習のしようがなかったからだ。


今回のライブの最大のポイントがこれで、前提として、とにかく沢山の曲を歌うというのがあったのだと思われる。初日、二日目とも歌った曲数はそれぞれ26曲で、これは過去最多タイとなる。さらに、両日合わせて、ユニークな曲数では35曲にものぼる。
つまり、どちらかの日のみ歌われた曲が9曲あるわけで、これまでツアー中でも2〜3曲程度しか変更点がなかったことを思い起こすと、これまでにない変化に飛んだセットリストと言うことができるだろう。
合間に挟まれた映像の中にも本人の曲をアレンジしたBGMが使われており、とにかく二日間を通して沢山の田村ゆかり曲で埋め尽くそうという意図があったようだ。

また、今回は中盤に古めな曲を入れてきており、ときおり客席(の古参と思われる人)からどよめきが起きていたのが印象的だった。


ただし、本人のパフォーマンス自体は今ひとつだった。音響の問題もあるのだろうが、全体として声が出ていなかった。また、二日目の終盤はかなりバテていたような印象がある。


演出としては、映像中のアニメーションや舞台効果など田村ゆかりのライブとしては、かなり豪華で気合の入ったものになっていたとは思う。しかし、どうせ金をかけるならバンドメンバーにかけてほしかった。オケも色々頑張っていたっぽいけども、舞台上にいるのは結局いつもの桃色男爵5人だけというのは、やや寂しいものがある。ここはMaryRoseに続いて、桃色管系を出してほしかった。


MCについては、二日目冒頭の虫トークが秀逸で、大会場に現れた小さな虫がスクリーンに映し出されるという対比が面白かった。ただ、両日とも終盤のMCはグダっていたような。
特に二日目アンコール後のMCについては、例によって増崎孝司がちょっかいを出してきて、あまりのうざさに、見ていてうんざりしてしまった。

と、不満も色々あったりするものの、久しぶりに、スタッフ・田村ゆかりとも「とにかく今やれることを精一杯やろう」という意気込みを感じることができたライブではあった思う。

次は、横アリだけど、時期的に、後夜祭っぽいまったりとしたライブになるんじゃないかなと思う(映像はまた以前の内輪っぽい内容になるんだろうなあ……)。


ということで、印象に残った曲を挙げておく。セットリストは以下を参照のこと
http://www.setlist.mx/concerts/11297
http://www.setlist.mx/concerts/11298

デイジー・ブルー
そういえば、梅雨の季節だし、これは本来なら予想できたよねと当日思った。トロッコに乗って客席を回りながら歌っていたけど、これはステージ上できっちり歌って欲しかったなあ。
YOURS EVER(アコースティック)
SMW千秋楽の感動ふたたび! うるうるしながら聴いてました。
Non-Stopping Train
これまでなぜか歌われてこなかった曲がようやく。ただ、初日だけというのはもったいなかった。両日ともに歌ってほしかったなあ。
traveling with a sheep
二日目の目玉。映像中に砂漠に鯨が出てきて喋りだす演出を初日にみて、これは明日は絶対来るだろうと思った一曲。 アレンジに異様に力が入っていた。
W:Wonder tale
CDで聴いたときは、「滑空の果てのイノセント」と何が違うの? という感じだったのだが、今回のライブではすごく良かった! 歌詞込みで、自分の中で急激に好きになった曲。ライブでは、サビの適切なタイミングでジャンプできるかがポイント。

店側の制限事項は、店が自己申告すべきだ

乙武氏とイタリア飲食店とのいざこざについて書かれた以下のブログが話題なっている

http://okayasu.hatenablog.jp/entry/2013/05/19/162555

このブログでは

これはあくまで想像なのだが、今回の乙武さんのクレーム発言の裏には、「障害者への侮辱」という心証に加えて、「言わなくても察してくれる」という「著名人としての扱いを受けられなかった」ことへの憤慨も多少は含まれているのではないだろうか。

といった妄想を前提としており、それだけで自分としては全く承服できかねる内容なのだが、もう一点気になる箇所がある。

予約者が車椅子であることを自己申告するのが自明としていることだ。

乙武さんはなぜ予約時にひとこと「車椅子で来店します」と伝えなかったのか。

これは逆ではないのか。そもそも店側が車椅子を搬入できない状態にあるのならば、予約時に車椅子を使う人がいるかどうかを店側が確認すべきだったのではないか。
店主は乙武氏にホームページに書いてあるから云々と言ったとのことなので、こうした問題は把握していたのだろう。にも関わらず、店側は予約した客になんの確認もとらなかったということになる。

現代において、バリアフリーは基本であり、また、お年寄りをはじめ、車椅子を使う人たちは一定数いる。さらに、飲食をする場合、普通は座って行うわけで、車椅子で問題になることが通常ないはずだ、と思うのは自然なことだろう(実際、乙武氏もこうしたことは今回が初めてだったようだし)。自己申告すればよいかもしれないが、本来は店側が事前に聞くのが正しいやり方であり、車椅子の来客を断る店はすべてそうすべきだ。

乳幼児の件だってそうで、本来は親が子供を連れてくるのはごく普通のことで、それを断るなら店側で事前に聞くべきだ。予約という手続きを客がとった場合、店側で自らの制限事項を客に伝えるのは当然の責務だろう(契約ってそういうものじゃないの?)。

なお、上記のブログや他のひとたちの反応をみると、乙武氏のフォロワーの多さを云々しているようだ、しかし、フォロワーの影響云々よりも、乙武氏が来店する前に、同じ目にあったであろう無名の人たちに思いをはせるべきではないか? あるいは、彼が声をあげなければ、車椅子に乗ったあなたやあなたの父母や祖父母が同じ目にあったかもしれないということに思いをはせるべきではないか。

ブレインストーミング/君さえ居れば何も要らない

One・Two・Three/The 摩天楼ショー」から数えて4枚目のシングル。同時に、5月でモーニング娘。を卒業する田中れいなが参加するラストの曲でもある。
一聴する限りでは、卒業曲特有の湿っぽさはあまりなくて、これまでのEDM路線の延長線上の曲という感じが強い。ただし「ブレインストーミング」のMVには田中れいな道重さゆみが並んでいるクローズアップのカットがあって、その一瞬だけは「ラストシングル」っぽい演出になっている。*1


ブレインストーミング」は、いかにも今現在のモーニング娘。でございます、というメロディーとリズムに彩られた自己言及ソングの体になっている。また、最初に発表されたときは気付かなったが、12期メンバー募集のお知らせを経て聴き直すと、「さぼってないで すねてないで こもってないで こっちにおいで」という箇所は、アイドルに憧れている女子に向けた詩でもある(みんなハロプロにおいでよ! という感じ)。さらに言えば、「そろそろ出発だ」みたいな下りがあるので、新しい道を歩み出す田中れいなへの応援歌ととることもできるだろう。ひとつの曲に色々な意味を込められるのは良い曲の証であり、したがって「ブレインストーミング」は大変良い曲である。
ただ、全体としてはこれからのモーニング娘。の曲であると解釈するのが自然であろう。しかも「普段通りしてれば 褒められるタイプ」「人見知りするのが 残念なタイプ」、そして「さあ 舞い踊れ さあ 胸を張れ」という箇所を読むと、これって鞘師里保個人に向けられた歌詞ではないか、という気がしてくる。つまり、これから名実ともにエースとして表舞台に立つことになる鞘師を激励しているのが「ブレインストーミング」の中核にあるのではないか。


ということで、「ブレインストーミング」を鞘師の曲とするならば、「君さえ居れば何も要らない」は田中れいなの曲である。いや、歌詞が男性視点なので、これは、つんく田中れいなに向けた曲と言える。出だしの「僕たちは自由だろ なのに窮屈だ 『あれはダメ』『それはまだ』悔しくなるよ」がいかにも田中れいなっぽいくだりになっていて、この解釈でサビの一節を聴くと、なんとも切なくも愛にあふれた曲だなあという印象に変わってくる。

総じて、ひとつの区切りとなり、そしてこれからの未来に対して希望を託したシングルになっている二曲だなあという感じがする。カップリング曲も良さげな曲が揃っているっぽいので、これからも聴きこんでいきたい。

*1:なお、田中れいなが一人で歌う「ロックの定義」のMVはさすがに卒業色強めだと思うが、こちらは未見

17歳だよ?! ゆかりちゃん祭り!!

自分はもはや王国民というより、国境線の外側から中を覗き込んでいるような気分になっているのだが、応募したチケットが当選し、日程的にも都合がつけられたこともあり、晴れて参加することにした。田村ゆかりのイベント系はこれが最後かもなあ。


開演は18:00予定になっていたのだが、機材トラブル&本人確認に時間をとられたためか、大幅に遅れて18:30にスタート。10分程度ならわかるけれど、ここまで遅れてしまうのは、ひとえにスタッフの手落ちとしか言いようがない。バカじゃないの? しかも、(これ自体はすごいと思うんだが)公演時間が3時間30分という長時間にわたり、結局終演が22:00過ぎになってしまった。平日に客を深夜に帰宅させたということに対して、本イベントに関わった主要スタッフはみな罪悪感を持つべきだろう。


肝心のイベントについては、事前に行われた田村ゆかり関連楽曲投票の集計結果を利用したトップ10を本人が歌う + アコースティックライブというもの。トップ10については、すべての曲を別々の衣装で歌うというのがミソで、着替えの時間はMCの鷲崎健がつないでいた(鰻トークがツボでした)。衣装については、過去のFCイベントやライブからのものだったり、今回初披露のものがあったりと、華やかではあった。個人的には、Mary Roseで一番好きだった衣装がもう一度見られたのはうれしかった。
ただ、その代償として、曲間のトークがほとんどなく、「次の〜位は一体……」みたいなノリはほとんど消えてしまっていた。単にセットリストの一部扱いでしたね。

アコースティックについては、今回は「タイトルに恋がついている曲縛り」で4曲。聴いていて改めて思ったのは、田村ゆかりの声はアコースティックによく合うなあ、ということ。透き通った声質が、静謐な会場の雰囲気に大変マッチしていた。
アコースティックは(当然)生バンドによる演奏だったのだが、今回はキーボードに安部潤が参加。なんとなくいつかは来るんじゃないかなあと思っていたのだが、こういう形で見ることになろうとは。6月のSSAではどうなるんだろう。


と、いうことでイベント自体はなかなかおもしろかった。誕生日企画は、もうサプライズとかいいから本人の前で堂々とやってもいいんじゃないかと思うが、I Love Rabittのような不完全燃焼感がなかったのはよかった。あのときも、せめてケーキくらい出せばよかったのにね。

あとは、このイベントに参加できなかった人が沢山いたと思うので、せめてFCイベあたりで、補完的な何かをやってくれるといいんじゃないかと。今回の結果を見る限り、20〜11位はかなり熱い投票結果になっていそうだし。

東京国際フォーラムの対応があり得ない件

東京国際フォーラムで照明機材が落下 観客1人が肩などにケガ― スポニチ Sponichi Annex 芸能

東京国際フォーラムホールAでのライブ中に舞台照明機材が落ちてきたという。「あってはならない」とはまさにこのことで、

同ホールによると、重さ18・5キロの機材が高さ9・5メールから観客席に落下後、近くにいた男性の頭や肩に当たった。ケガをした男性は仕事復帰もしているという。ライブは中断されず、そのまま行われた。

死者がでなかったのが不幸中の幸いというか、不幸中の奇跡とでもいえる事件だったと言えるだろう。
さらに恐ろしいのが、ライブが続行されたというところで、会場側の発表(PDF)によると

弊社は終演後、舞台照明機材の設置状態を総点検し、固定金具に異常の無いこと、確実に固定されていることと、複数の落下防止措置が講じられていることを確認しました。

とあるので、安全が確認されたのは終演後であったことになる。つまり、主催者や会場側は、事件が起きたのち、安全を確認せずにライブを続行し、観客を危険に晒し続けたことになる。彼らは、どのような根拠でライブを中断しなかったのであろうか。

主催者側は、会場側に対してただちに安全を確認するよう要請すべきだったし、あるいは、会場側は、主催者に対して安全が確認できるまでは演奏を中止し、観客を退避させるよう要請すべきだったのではないか。
ライブ開始前には大抵「何かあったら公演を一時中断、または中止することがあるよ」みたいなアナウンスが流れるけれど、あれは口先だけなのだろうか。

と、いうことで、このままうやむやにするようなら、少なくとも東京国際フォーラムでライブを観るのはやめておこうと思っている。

なお、安全対策としてジャンプ禁止にすべき、みたいなブコメを幾つかみかけたのだが、それはあまりにも対処療法的で危なすぎだと思う。「上からモノが降ってくるかもしれないからジャンプ禁止ね」なんて会場に行けますか?

追記(2013.2.24)

ということで、あちこちでニュースになったおかげか主催者はおろか演者までがこの件に対して声明を出すことになった。

先日のライブの件について | 戸松遥オフィシャルブログ「ハルカレンダー」Powered by Ameba

別に歌った人はここまで書く必要は無いと思うんだけどなあ(文章的にはひとまずフォローを入れました程度のような気もするが)。

で、主催者側の言い分はこちら
戸松遥「second live tour Sunny Side Stage!」 東京国際フォーラム ホールAご来場のお客様へのお詫び

当日のコンサート運営スタッフ及び、東京国際フォーラムからの報告によりますと、事故直後下記内容の確認が行われました。

★当該座席付近のお客様にお怪我がないことを主催者側誘導スタッフにより確認
★バルコニーライト収納部に設置の他の照明機材については、東京国際フォーラム ホールAスタッフによる他機材の安全確認

以上により、お客様と機材の安全確認が出来ましたので、公演中止・中断という判断には到りませんでした。

ってあるけど、コンサート中に、どうやって中止せずに「東京国際フォーラム ホールAスタッフによる他機材の安全確認」ができたんだよ! という気がするけれど。

こういうときは、「これからも観客の安全を最優先にコンサートを行います」と一言書いておくと、信頼が高まるのにな、と思いました。

海外に精通すると同族嫌悪に陥る人たち

昨年、スターバックスでコーヒーを飲んでいたら、韓国を中心として海外にしょっちゅう旅行している女性二人の雑談が聞こえてきた(早口で様々な語彙を正確なイントネーションで喋れていたので、生粋の日本人のはず)。で、彼女らはそれなりにマニアックな箇所を巡り、豊富な知識の持ち主であるようなのだが、そういう人たちからすると、ミーハーな日本人客が気に入らないらしい。
「メジャーな場所に行くと、イルボンがいるのがうざいんだよねー」なんて言い方で、盛んに日本人旅行客をくさしていた。いや、あなたたちもイルボンだろうに(笑)。

海外に出ることで、謎の特権意識を持ち、日本人を見下している人の卑屈な感情がよく表れた科白といえよう。


こうした、アホみたいな同族嫌悪をこじらせている人はどうやら、サッカー関係者にもいるようだ。

サッカー専門誌・エル・ゴラッソのデザイナー佐藤峰樹さん「もうヨーロッパに日本人選手は要らないし、不快だ。足手まといで邪魔ななんだよ。」とtwitterで発言し炎上:ハムスター速報

彼からすると、海外のサッカーを観戦している「特権者」としては、そこに同族たる日本人が出ていると気分が悪いんだろうね。