フォーメーションを観ることの楽しさ――モーニング娘。コンサートツアー2013秋 〜 CHANCE! 〜

2013年11月28日、日本武道館にて、今秋のモーニング娘。 コンサートツアーが終了した。自分はもろもろの都合で行くことができなかったが、24日のパシフィコ横浜など、幾つかの会場にて堪能することができた。

今回のコンサートの最大のポイントは、とにかく運動量が多い! ということに尽きるだろう。最近のモーニング娘。はフォーメーションダンスが売りであるわけだが、公演時間を目一杯使って、ところせましと踊りまくり、歌いまくっていた。

逆に、それ以外の演出は最小限にとどめていたのも特徴である。メンバー紹介映像は、冒頭の「ワクテカ Take a chance(updated)」の間奏として流れるのみ。そしてMCも短めのが2回あるのみ(うち一回は道重さゆみのみ一人MC)。アンコール後の挨拶も概ね決まりきった短めのコメントのみ。
とにかく、余計な時間を使っているヒマがあるなら歌って踊れ、という指針が徹底されたコンサートだと言えるだろう。

セットリストは、もともとは「The Best! 〜Updated モーニング娘。〜 」を基調としていたのだが、11月16日の中野サンプラザから「LOVEマシーン(updated)」「恋愛レボリューション21(updated)」が外れ、かわりに新曲の「What is love?」が入るようになった。差し引き1曲減り、結果として、全体の印象が大分変化した。

つまり、当初はモーニング娘。黄金期の代表曲を今のメンバーで歌い直すというところが「Chance!」の特徴であった。あの頃の勢いを現在の感性でUpdateしよう! というところだろうか。
しかし、黄金期の中でも屈指のというか、モーニング娘。として最も有名な2曲が外れた結果、Update色が大幅に薄れ、代わりに最新曲が入ったことにより、前回(ミチシゲイレブン)、前々回(カラフルキャラクター)との地続き感が増した。

このセットリストの変化の理由は今のところ不明。どちらも、Updateした曲調とかダンスに諸々からの苦情が来たのかもしれないし、あまりにも今回のセットリストがハード過ぎたので、1曲減らしたのかもしれない。

ただ、この変更が(自分の観測範囲では)さして問題になっておらず、普通に受け止められているあたりに、現在のモーニング娘。の強さが表れていると思う。「LOVEマシーン」を歌うかどうかは大した問題ではない、重要なのは「One・Two・Three」とか「Help me!!」とかを歌うかどうかなのだ(どうせ一曲減らすなら、どちらかをフルで歌って欲しかったが)。

自分は、パシフィコ横浜では3階の前方真ん中という、フォーメーションを観るには絶好の位置だったのだが、とにかく各人の移動がすごかった。特に「Help me!!」が印象的で、よくもまあ、こんなふうにくるくるとポジションを変えて、しかも揃えていけるもんだなと感動してしまった。サビ部分の、横に広がった状態から二列縦隊になり、再度横に広がって不死鳥のポーズという一連の動きが大変カッコイイ。

逆に、微妙だったのが「ブレインストーミング」で、特にBメロ部分で後ろでちょこちょこと移動しているメンバーがいるのだが、単にミスして焦っているようにしか見えない。このあたりの振り付けは失敗だったんじゃないかなあ。

そんなことを含めて、個々の歌やダンスだけではなく、全体の動きを楽しめるのが今のモーニング娘。の特徴であると言えるだろう。BD/DVDでも、アップは極力避けて、色んなロングの視点から楽しめるような映像になっていることを期待したい。