怪獣映画・特撮作品・そして邦画史上に残る最良の三部作に愛をこめて

この夏はギャレス・エドワーズゴジラの公開にあわせて、過去の様々な怪獣映画がテレビで観ることができるわけだが、いよいよ、明日(もはや今日だが)から、3週にわたってNHK BSにて、いわゆる平成ガメラ三部作がオンエアされる。

日本の怪獣映画ということになると、もちろんゴジラが代表格ということになるのだろうが、1980年代以降に公開された日本の怪獣映画というくくりでは、主役はなんといってもガメラだ。

1995年に公開された「ガメラ 大怪獣空中決戦」を皮切りに、「ガメラ2 レギオン襲来」(1996年)、そして「ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒」(1999年)の三作により、ガメラ現代日本で活躍するに相応しい怪獣として再定義され、公開から20年近くたった今でもその輝きはまったく失われていない。


平成ガメラ三部作の魅力とは何か。


これは、色々な人が色々な解説してくれていると思うのだが、自分にとっては「怪獣映画でやって欲しかった要素を全部実現してくれた」ことにつきる。例えば以下の様なことだ。

  • 「現在に日本」を舞台にして、怪獣が出現したらどうなるか、ということをリアルな視点に立って描写すること
  • 架空ではなく、現存している兵器と軍隊を出すこと
  • 単なるやられやくではなく、それなりの戦力として軍隊を出し、怪獣とガチンコのバトルさせること
  • SFとして魅力的で説得力のある存在として怪獣を描くこと
  • 怪獣による破壊のシーンをより詳しく、リアルに描くこと

これらは怪獣映画としてはごくごく真っ当な要素だと思うのだが、1980年代以降では、残念ながら、ついぞ観ることができなかった(1989年の「ゴジラvsビオランテ」は割りといい感じではあったのだが……)。

そんなわけで、最初に「ガメラ 大怪獣空中決戦」を観た時は、まるで夢のようだった。なんというか、「自分と同じ趣味嗜好を持っている人が作ってくれた!」とか、「『ぼくの考えたさいきょうの怪獣映画』を本当に実現してくれた!」という感動を覚えたというか。

とはいっても、上記で挙げた要素がすべて映画の中で効果的に生かされていたかは議論の余地があると思うし、三作とも瑕疵はいくつもあって、決して完全無欠の傑作とは言いがたい。でも、スタッフ・キャストともに、最高の怪獣映画を作ろうとしていたのは観て伝わってきたし、その努力に見合うだけの傑作になっていると思う。

平成ガメラ三部作のち、いくつもの怪獣映画が作られてきて、ある程度は劇場で観ていたのだが、これに匹敵するクオリティを持つ作品はついぞ現れなかった(トトは未見)。海外だと「宇宙戦争」とか「クローバーフィールド」を経て、「パシフィックリム」の香港シーンあたりで、ビジュアル的にはようやくガメラ3の先が見えたかなあという感はある。
今後は海外作で、ガメラに匹敵する作品がようやく観られるようになるのかな、という気もするが、やはりそろそろ本家にお出まし願いたいところではる。そんなことを思いながら、伝説の三部作を見返してみたい。