宇宙戦争

おなじみ、H・G・ウェルズのSFをスピルバーグが映画化。(たぶん)火星人による地球侵略に翻弄される親子のお話。

冒頭、起動するトライポッドの描写や、その殺戮ぶりあたりが、露骨に怪獣映画の描写になっていて、観ていて鳥肌がたった。特に、咆吼がゴジラっぽいのが実によい。さらに、とある登場人物による「トライポッドが光ると、あたりはまるでヒロシマだ」みたいな台詞に、「俺はゴジラの本質をきちんと押さえているんだ!」というスピルバーグの主張が聞こえてくるようだった。

ただ、主人公親子の逃避行の様子はどちらかというと、「ゾンビ」を彷彿とさせる演出となっている。特に、車に群がる多数の人々は、まるで装甲車に集まるゾンビそのものだ。もしかすると、本作は、スピルバーグの好きな諸作品のオマージュを捧げる場として活用しようとしたのかもしれない。

ただ、中盤の「別れ」のシーンあたりから、話がぎこちなく、冗長になってしまい、観ていて少々退屈だった。諸手を挙げて傑作と言えないのがとても残念。まあ、後は、ロメロ御大による「ランド・オブ・ザ・デッド」に期待することにしよう。