サマーウォーズ(ネタバレあり)

インターネット上にある仮想空間、OZに侵入した(一種の)ウイルスと、とある家族の戦いを描いたお話。

物語の設定や展開がいちいち納得できないことばかりで、いまひとつ楽しめなかった。
例えば、件のウイルスは管理者権限を乗っ取り、OZを利用している現実世界のサービスまで影響を及ぼしてゆくことになるのだが、その中には何故か交通機関の混乱があったりする。あのー、なんで交通管制をするのに、セカンドライフちっくなOZを利用しなくちゃいけないんだ? せいぜい、各拠点をインターネットで繋いでいるかどうかくらいだろう。さらに、そこまでインフラを乗っ取れるにもかかわらず、電話やテレビが普通に使えているのも謎。OZを乗っ取ろうとするなら、まずはアクセス手段を切ったほうがよいのでは……。

あと、そこまで各種インフラを握られているのなら、各国の政府はもうちょっとがんばってなんとかしようとするのではとか、あるいはさっさとOZを閉鎖すべきではとか、なんかOZ上で格闘ゲームみたいなことができるみたいだけどルールが不明だとか、格闘ゲームのキャラクターをキーボードで操作してるんだけど、もうちょっとマシな外部機器があるんじゃないとか、主人公たちがOZの世界に城みたいなものを建ているけど、そこまでサーバを乗っ取れるんだったら、もうちょっとスマートにウイルスを除去できるんじゃねとか、疑問点があとからあとから出てきてしまう。
要するに、製作者側は、OZはどのように運用され利用されているか、ということを全然考えていないのではなかろうか。

ちなみに、OZによる混乱を知ったとある偉いお婆ちゃんが関係各所に電話をかけまくるのだが、「がんばって!」「あんたなら出来る!」とか曖昧な言説ばかり。でも、こういう事態になったら、みんな言われなくてもがんばるよね普通。

また、後半近くで、「女はしょせん家のことしか頭になく、最後に世界を救えるのは男だけ」みたいな展開になっていったのがちょっと気になった。まあ、ラストの盛り上りでうやむやになってましたが。

というわけで、「ネット」と「家族」それぞれに首をかしげるような箇所が色々あって、私はこの映画をあまり好きになれなかった。ただ、ユーモアの使い方は、とてもうまかったと思う。特にラスト近くのものすごい緊張感あふるるシーンで、思わず笑っちゃような描写を入れてくるセンスは素晴しい。各キャラクターのセリフ回しも結構好きなんだけど、いかんせん棒読みが多くて……。