十六夜の月、カナリアの恋。

十六夜の月、カナリアの恋。(初回限定盤)(DVD付)

十六夜の月、カナリアの恋。(初回限定盤)(DVD付)

何回か繰り返して聴いてみたので、ざっとした感想を書いておきたい。

まず思ったのが、歌い方が大人っぽくなったこと。例えば、冒頭の「Swing Heart」などは、かつてのゆかりんなら可愛らしさを前面に出していたはずだが、今回はどちらかというと、大人びた爽やかさを感じさせる歌いかたになっている。
また、全般的に変にキャラクター性を織り込まないで、本人の一番綺麗な声を生かしたナチュラルな音作りになっていて、とても聴きやすい。オリジナルアルバムとしては前作となる「銀の旋律、記憶の水音。」と聞き比べてみたのだが、声の美しさ(特に透明感)については今回の方が遥かに上ではないかと思う。特に、「Non-Stopping Train」や「Petite lumiere」辺りの声は本当に良い。逆に、「Sound Mark」は大人っぽさを生かせてないように思う。サビ自体はいいんだけど、「Cursed Lily」等と比べると迫力が足りないような(ただし、ライブで聴くと大分印象が変わるかも)。

一点残念なのは、構成がいまひとつであること。特に、「Beautiful Amulet」-「Interlude 〜moonlight flower〜」-「お気に召すまま」の繋がりがいまいち。「お気に召すまま」のインパクトが大きくて、まるで別のアルバムが始まったように感じてしまう。実際、「お気に召すまま」以降の曲は、割とこれまでの田村ゆかり路線っぽい感じの曲が続いていて、後ろにミニアルバムがくっついている印象がある。

もうひとつ残念なのは、このアルバムを意識したライブは今月末の武道館のみになるであろうこと。できれば、ツアーで複数回じっくり聴きこみたかったことであるよ。

他、印象に残った曲を二つ挙げておく

  • 上弦の月」……アルバムタイトルが「十六夜の月」なのに、「上弦」というのが意味深。
  • 「Happy Life」……曲自体はアップテンポにも関わらず、歌詞の大半がネガティブな内容なのが面白い。武道館に臨むゆかりんの心象風景と取ることもできるかも。